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レポート「日本政府の2030年温室効果ガス46%削減目標は脱原発と脱石炭で十分に実現可能だ」が公開されました

未来のためのエネルギー転換研究グループは、2021年6月4日にレポート「日本政府の2030年温室効果ガス46%削減目標は脱原発と脱石炭で十分実現可能だ – よりおおきな削減も技術的・経済的に可能であり、公平性の観点からは求められている」を公開しました。こちらからダウンロードできます。

【ポイント】

  • 日本の現状においては、日本政府の「2030 年度に 2013 年度比で温室効果ガス排出の 46%削減」は「2030 年度に 2013 年度比でエネルギー起源 CO2排出の 50%削減」となる。
  • 政府は 2021 年 4 月 18 日の経産省審議会で活動量を一部下方修正し、再生可能エネルギーおよび省エネの導入量を上方修正した。しかし、これだけでは上記のエネルギー起源 CO2 の 50%削減は不可能である。
  • メディア報道によると、政府は現在、第 6 次エネルギー基本計画のエネルギー・ミックスとして再エネ 36 〜38%、原発 20〜22% を想定している。しかし、この二つの数値以外は不明であり、数値目標の検討・策定はほぼ密室で行われている。したがって、本稿で私たちは、省エネ・再エネ関連の政府審議会や委員会での議論に基づいて、政府が検討しているエネルギー・ミックスおよびシナリオ(再エネと省エネの具体的内訳)を推測した。
  • 私たちは、こうして推測した政府シナリオおよび脱石炭火力・脱原発を前提にした二つのシナリオを含む計三つのシナリオに関して、必要とされる具体的政策や経済影響などを比較分析した。その結果、脱石炭火力・脱原発のシナリオの方が政府シナリオよりも発電コスト総額や雇用創出数という点で経済合理的であることが明らかになった。
  • 日本政府の 46%削減目標は、主要先進国の中では見劣りするものであり、途上国との公平性を考慮すると極めて不十分な目標である。
  • 政府は、日本および海外の複数の研究機関・NGO が提示しているシナリオや数値を参照し、経済合理性および公平性という二つの観点から目標を引き上げるべきである。